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Architecture

大磯の家

所在地 神奈川県中郡大磯町
竣工年 2019年
規模・構造 木造2階建て
用途 事務所併用住宅
敷地面積 201.17㎥
建築面積 96.78㎥
延床面積 178.50㎥
撮影 久野啓太郎
コンセプト

敷地は南に相模湾を一望でき、西には切通し通しから富士山をのぞめる高台に位置する。北側から東側にかけては大磯丘陵地帯の緑がひろがり、自然にとても恵まれた環境にある。必要諸室としては自宅のほかに、ビルトインの駐車場、施主ご自身の事務所、仕事用の倉庫機能、打合せスペース、日本画家の奥様のアトリエなどが求められ、規模が大きく複雑なプログラムの建物となった。さらに、敷地形状が条件をより複雑なものにしている。宅地造成された区画の北西角にあたり、隣地よりかなり高くなっているため視界は開けているものの北側の一部分は二段擁壁を回避するため一部土手となっている。また、前面道路側に駐車スペースはあるものの販売条件で建物を建てられない。

建物の外観は外からほとんど見えないこともあり、まずは大きな容積を効率よくおさめることを優先に考えた。協定で決まっている隣地境界線からの離れ距離をとった上で、建物の基礎を安全に設置するため、北側の崖の安全距離を確保しないといけない。その中で建物のボリュームをおさめるためには5角形の形状がみえてくる。その形状をそのままに外観はシンプルにまとめた。土手については崩落防止のためコンクリートでカバーした後、極めて腐朽しにくいイペ材でデッキを構成。土手の上部を広いデッキスペースとして有効に活用できるようにした。

1階は車のアプローチを考慮するとビルトイン駐車場と玄関の位置は必然的に決まった。次に仕事のための半分公的なスペース、2階は完全にプライベートとおおまかにゾーニング。そこに、空間をつなぎながら縦に貫くように三角形の吹き抜け空間を配置しトップライト設けた。平面が大きいと暗くなりがちな建物の真ん中部分が明るくなるようこころがけた。三角形の吹き抜け空間は広い玄関と玄関ホールとして開放的で明るい来客との打合せスペースになる。床はすべて大判の白いタイルで仕上げ、なるべく木造住宅のイメージがでないよう心がけた。三角形の吹抜には空間の重要なアクセントとして住宅へのアプローチとなる鉄骨階をかけている。下から見上げると、上には金属質な仕上げの屋上にでるための階段をかけ、空間が単調にならないよう工夫している。

2階はリビングとダイニングが吹き抜けのまわりに配置される。海をまっすぐにのぞむ位置にキッチンを配置。ダイニングからは富士山をのぞむことができ、深い軒下のバルコニーへと続く。このバルコニーにはハンモックを吊るす予定だ。リビングは特に照明計画を工夫している。ダイニングからつづくフラットな天井はリビング部分で四角い折上げ天井とし、その折上げ寸法をとても大きくする事でうまれた空間全体を間接照明で照らしている。天井のエンドのディテールを工夫しシンプルかつ薄くすることで、折上げ天井の奥行き感覚が消失した光のボリュームをつくっている。吹き抜けに面した居室は冬期の暖房効果を考慮し温水式の床暖房を採用している。熱源は専用のヒートポンプとしている。床仕上げ材はチェリーを採用。床暖房対応の厚板を突きつけた合板フローリングをセレクトすることで仕上げは無垢材の肌触りと質感を実現している。

奥様のアトリエ空間は建物の配置から道路の先に相模湾を望む事ができる位置に設けている。自然光があふれた空間とするため、通常は床に使う掃き出しのサッシを高い位置に設置。大きな開放可能なガラス面を実現している。天井の高い部屋は、大きな絵を立てかけられる壁面を確保、絵画などをいれられるWICとロフトベッド、水場やデザイン的なワンポイントとなるロフト階段などコンパクトながら多機能な空間となっている。

2階からは吹き抜けに張り出した巾の細い鉄骨階段で気軽に屋上にアプローチできる。広い屋上テラスからは、相模湾、富士山、大磯丘陵を一望することができる大パノラマが広がっている。

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一級建築士事務所 ヒマラヤ

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