Works
Architecture

嘉島の家

所在地 熊本県上益城郡
竣工年 2010年
規模・構造 木造2階建て
用途 専用住宅(2世帯)
敷地面積 360.83㎥
建築面積 93.9㎥
延床面積 163.79㎥
撮影 石井紀久
受賞 第17回くまもとアートポリス推進賞選賞
掲載誌 A-style
コンセプト

次の世代へ。生活の記憶の継承を演出する住空間
自然をいっぱいに受け止め、既存庭への門がしつらえられた二世帯住宅。

施主は30代のご夫婦です。敷地は熊本市の隣に位置し、車通勤圏でありながら周囲を自然に囲まれたとてものどかな土地で、ご主人の生まれ育った場所になります。しばらくこの土地を離れておられたましたが、子育ての時期になり実家を建て直しご両親とともに住まわれることになりました。要望としては、ご両親との二世帯住宅、それも、お互いの生活を尊重したいという意向から、階を分けて、玄関や水回りをそれぞれ設けた完全な二世帯住宅という依頼でした。

設計を始めるに当たってお話を聞いていてまず感じたことは、当然のことですが、ご家族にとっては様々な思い出が詰まった土地であるということでした。いろいろなエピソードとともに樹木や庭石の話などをお聞きできました。そして自然に恵まれたこの環境で子育てをしたいという強い思いでした。

計画としては、敷地の大半を占める既存庭を極力保存。そのうえで、いかにその庭を生かすかを考え、各世代の玄関とは別に、庭へのアプローチとなる第三の玄関を提案しました。ご主人が子供時代を過ごした庭(記憶)に玄関をしつらえることで、完全に別な二世帯住宅でありながら、世代を超えた家族としてのつながりを意識できるよう意図しています。

各世帯の玄関はあえて目立たないようデザインし、第三の玄関を門として、既存樹木の位置などを考慮してレイアウト。建物外観上のポイントとなるようデザインしています。第三の玄関は庭への通り抜け縁側となっていて、既存庭に面して設けた広い縁側につながっています。この縁側に面したご両親世帯の和室がこの家の中心です。

子供(孫)達は通り抜け縁側を通っておじいちゃんおばあちゃんの部屋や庭へ自由に行き来出来ます。外と内との中間ゾーンとしての縁側ですので、裸足のまま庭におりて遊んで構いません こうして、新たな世代とともに再生された庭は、縁側やバルコニーを通して、光や風、土や緑のにおいなどとともに生活空間に浸透していきます。そして、新しい世代である孫世代とともに、また新たな記憶を作っていくことを願っています。

また、もうひとつ大きな特徴として家事動線の効率的な設計があります。共働きの奥様にとって計画で家事の負担を減らすことはとても重要です。キッチンと家事室は背中合わせで近い位置に配置。家事の同時進行を可能としています。バルコニーまでのルートを洗濯物を運ぶ家事の大通りとして設定。さらにバルコニーをふたつに分け、ひとつは洗濯物を干したりすることをメインの用途としています。リビングにもうけた大きな開口部の欄間部にはルーバー窓を設置。バルコニーの軒天井に近い高さなので雨天でもあけて換気することができます。開口部を保護する雨戸板には小さな穴を規則的に開け、風を通すと同時に光を通すようにしています。床に落ちる丸い影が楽しい空間になります。

既存庭への第三の玄関を門としてデザインしたファサード。

生活の記憶である既存庭への第三の玄関。

外壁は白と黒で現代的にアレンジ。色の違いに合わせ素材も変化させている。

施主の幼少期の生活を記憶した既存庭。記憶の継承と、その先に広がる自然をいっぱいに受け止める住宅であることを望む。

通り抜け縁側となる第三の門の先にシンボルツリーとした既存のヒメシャラが見える。

ダイニングの一角にありながらも、快適な空間となるようこころがけたワークスペース。

2階部分はリビングから子供室まで一体化した空間となっている。家具やステンレスメッシュなどでゾーニングされている。

1階の親世帯は和室を中心として庭とのつながりを重視した空間作りとなっている。

白くなりすぎないナチュラルなイメージをという要望をキーワードにシナ材でまとめられたキッチン。

対比的に白くまとめられた家事室。家事導線がこの建物のもうひとつの重要なポイントでもあった。

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一級建築士事務所 ヒマラヤ

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