今回の計画は、ベースは鉄骨造2階建てで、2階部分の住居スペースのほぼすべて新しくするリノベーションである。1階は施主が経営されている事業所があるが今回は手を入れない。
現状一番の問題だったのは日当りである。既存建物の配置は北側からの採光をメインとして計画されており、昼間でも暗く寒いという問題があった。また、使ってない個室も多く面積の割に決して広く感じられない。幸いにして重量鉄骨造の建物は構造体がしっかりしており間取り的にはかなりの自由がきく。構造体、外壁、サッシを残し、インテリアはほとんど解体してスケルトンとした上で、今後の家族構成の変化なども考慮して計画を練ることとした。
まずはLDKを拡張。南側の個室をなくし、キッチンはオープンキッチンとして北側に移動した。南側にはりついた階段室の壁はガラススクリーンとして階段室越しに採光をとった。限られた南側の窓を最大限活用することで、暖かい日射を獲得。北側からのおだやかな光と二種類の光が入るあかるい空間となった。その上で既存の北側の窓はガラスの見えがかり面積が小さくなるよう家具などで調整。ウッドのブラインドを設置しなるべく断熱性をもたせている。
とても広くなったLDKは大きな可動壁面で分割することもできる。造り付けのディスプレイ家具をもうけ。天井は段差をつけ一部板張りとし間接照明を設置するなど空間が単調にならないよう注意している。仕上げ材として床や家具はウォルナットを選択。綺麗な木目をいかしたダークブラウンの色調を基調とし、ランダムヘアライン仕上げのステンレスのキッチンがワンポイントとして空間のアクセントとなるよう意図している。