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戦後日本住宅伝説-挑発する家・内省する家

08伝説住宅埼玉県立美術館で開催されている伝説住宅展に行く。
もうタイトルだけで行く価値ありますね!まさに伝説と言える戦後日本の名作住宅が楽しめます。アトリエファイスタッフ時代に何度も訪れ泊めていただいた原邸の展示もあって、とても懐かしく感慨深い。
原先生と西沢立衛さんの対談に応募したところ、高い競争率を勝ち抜く事ができました!

 

 

以下備忘録として展覧会概要を写します。

とある建築家の集まるシンポジウムで、「昨今の建築界では現代彫刻と見紛うような建築も現れてきたが、その違いは何か」という問いに、ある建築家は「内部 があることである」と答えました。住宅に注がれる建築家の眼差しは、その内部空間をどう構成するかという点に収斂されていくといっても過言ではないでしょ う。
人間の生活の基本である「衣・食・住」の「住」、中でも戸建て住宅に焦点を当てたこの展覧会は、戦後の1950年代の建築作品から始まり、 国家的イベントである万博を経て、建築家の眼差しが強く内部に向けられた1970年代まで、16人の建築家の16作品で構成されています。今や伝説とも なった戦後日本の、挑発する、あるいは内省する建築作品の数々を、建築家のコンセプトとともに紹介することにより、建築家が「住まい」という私的な空間を どうとらえ、どう表現しようとしたかを探ります。

この展覧会がご観覧いただく皆様にとって、改めて住空間を見つめ直し、思索を深めながら、新たな視点を見出す機会になればと願っています。

 

表参道建築探訪2

0725sanna妹島和世さん設計のトーヨーキッチンの照明器具のショールーム。
コンパクトなガラスファサードの鉄骨フレームの建物がアルミエキスパンドメタルで覆われている。視線の移動により内部の透け具合が変化する。光の反射と透過の具合がとても美しい。
シンプルで王道のダブルスキンの構成だが、ガラスとエキスパンドの距離やエキスパンドの密度などが計算し尽くされている。

0725apple アップル表参道店。建築家、光井純氏の設計。
設計者は違ってもアップルの店舗に共通したミニマルでシンプル。清潔感あふれる建物だ。
高い天井のほとんどの空間にはなにもなく、贅沢な空間にリンゴのアイコンが印象的に光っている。外国の店舗などと違うのは完全なガラスのキューブではなく背面は壁であるということ。それでも、ケヤキ並木に向かって透け透けのガラスのファサードはむしろリブガラスが残念なくらいだ。

表参道建築探訪1

0725塔の家天気もよかったのでGAギャラリーから代々木~表参道方面へ散策。まず当然目に止まるのは
建築家、東孝光さん設計の塔の家
1966年竣工。地上5階、地下1階建ての建築家の自邸だ。敷地面積はったの6坪。都心で住まうことを考え抜かれた建物で、近隣の街の様相は建築時からは激変した今も存在感のある建物だ。



0725plada南青山に足をのばす。
ヘルツォーク&ド・ムーロン設計のPLADA青山ビル
2003年竣工のこの建物は今でも全然古びない。写真を撮るとCGじゃないのかというほど非現実感が漂っている。
当時、H&deMは表層のデザインで世界の建築の流れを作った建築家の一人だが、この建物はそのデザインが表層にとどまらず構造体となっているところが大きい。アイデアモデルとしてのエキスパンドで作られた検討模型がそのままリアルな建築となっている。

GA international展

0725ga滅多にお目にかかれない海外の建築家の現在進行形のプロジェクトの展覧会で、新しい建築の流れを感じることができる。また、プレゼンテーションもとても参考になる。最近の海外の若手建築家にはクールジャパンが根付いているようで、日本人から見ると浮世絵風の表現といったような、ちょっと不思議なプレゼンテーションもあり面白い。建築的にはホームアドバンテージもあるが、日本人建築家が元気で、案、プレゼンともに抜きん出ていた。なかでも石上氏の切妻屋根の連なりを分節し、変化させながら再構築し新たな造形を生む方法は新たなヴォリュームを作り出す方法論としては理解しやすく面白い。ただ、造形として面白くても建築としてよいものとできるかは別問題だが。

GAギャラリーの小さな中庭に植えられた樹木がコンクリート壁にせり出して茂っている感じが暑い気候の中、とても気持ちよい。
 

前川建築2

 05前川京急線日ノ出町駅からほど近いところにある市立図書館。とても大きな図書館です。
六角形をモチーフとしたデザインと建物を貫く大階段のピロティが特徴です。

ニブロールの練習のため、このピロティ通り抜けて坂の上スタジオに通った日々が懐かしいです。

05前川2

小国建築探訪3

0429小国3 末廣香織+NKSアーキテクツ設計の小国町立北里小学校屋内運動場
2003年竣工と比較的新しい建物で既存小学校の体育館の増築である。
敷地の段差を利用して半分埋め込んだような体育館と、それをとりまく回廊上のギャラリーで構成されている。回廊のゆるやかな傾斜と外壁のステンレス板菱葺きが印象的だ。

0429小国2内部空間
壁天井全面が地元小国杉の縦格子で覆われている。トップライト直径と同じダクト状の部材で光を取り入れる方角を限定しているアイデアは面白い。
しかし、縦格子材の隙間から見える天井裏や壁裏の見え方がいまひとつ美しくない。光が効果的に透過しているわけでもなく、ただ、裏が透けて見える感じがして少々乱雑に感じる。さらに、斜材などの見え方が設計的に処理されきれておらず、破綻しているように見えて、結果、新築なのにリフォームにも見えてしまう。少々残念。。

小国建築探訪2

0429西里1故木島安史氏設計の宮里小学校
バイパス道から入り奥深い山の中を縫うようにつづく細道をいくと
学校は突然現れた。
特徴的なドーム型のホールを中心に切り妻の校舎が広がっている。
もう廃校となって久しく中には入れない。最低限メンテナンスはしてあるようだが、雑草が伸び放題の校庭や荒れかけた校舎は可愛らしいというよりは一種の凄みを感じる。
川沿いの谷の地形はどことなく愛媛県の大瀬と似ていて、まとわりつくような湿気があたりに充満。廃校の雰囲気をより一層怪しいものとしている。
なんとか再生を希望するが、あたりの閑散とした過疎の具合はそんなセンチメンタリズムではとても太刀打ちできそうもなく、妻有のような行政を巻き込んだ大掛かりな仕掛けとエネルギーが必要そうだ。

0429西里2閉ざされたガラスにへばりついて内部を伺う。放射状にひろがった校舎の中央に位置するドームの足下が少しだけ見えたが、そのホールの豊かな空間はとても魅力的に見える。

小国建築探訪1

0621小国 葉祥栄氏設計の木造建築群を訪れた。
ゆうステーション 1985年竣工
まだ私が建築を志しはじめた頃に一世風靡した木造トラス構造の作品群。その中で最も代表的な建物です。町の中心部にあるバスステーションの建物で小国を訪れた観光客が集うターミナルともなっています。
新しい仕事のお施主さんが小国町に在住の方で久しぶりに小国町を頻繁に訪れる機会に恵まれています。
ゆうステーションは今ではガラスで覆われた逆円錐形の特異な形状も町のアイコンとしてとて馴染んでいて、人で賑わっていました。

0429小国1
内部はトラスが現わになった仕切りも最小限のほぼひとつの空間となっている。こういう公共施設にありがちな不必要に贅沢な感じがなく、質素でコンパクト、しかしながら狭さを感じるようなことはない、その絶妙なスケール感がとても気持ち良い。
地元の小国杉の間伐材による木造立体トラス構造が特徴で、連結の形状自体はシンプルなボールジョイントだが、木材と金物という異なる素材をボルトと接着剤併用で連結して作られている。今で言うところのハイブリッドです(笑)実験を重ね強度を確めて認定を取得するという複雑な手順をふんで実現したと聞いています。

0830小国林業総合センター
これも氏の設計によるもので木造立体トラスで構成された水平の屋根が長くかかっている。ピンジョイントの柱で支えられ深い軒下空間を生み出しており、外部と内部の中間ゾーンとなっています。
他にも木造トラスの小国ドームという建物があるのでまた機会を作って訪れてみようと思います。

久野邸リフォーム工事

0425久野久野邸で2002年の竣工以来はじめての小規模のリフォーム工事を行いました。住まい手の高齢化や使い勝手の変更など様々な事情があり、新たに引戸や家具を設置しました。
建物はある程度、将来の間取りの変化を想定して対応できるよう設計しているので、そういう意味で今回のリフォームは想定内の工事でした。
しかし、実際に引戸の敷居を設置するため床材を切ったところ、あろうことか床暖房を傷つけてしました。幸いフィルム式の床暖房だったため、一部が使えなくなっただけで大事にならなかったのが不幸中の幸いでした。
肝心のリフォーム自体はとてもうまく納まり、生活の変化に合わせて進化することができました。
 

都橋商店街

0623関内横浜から京急線で一駅の日ノ出町駅から市立図書館を見たあと、関内の駅までの途中で大岡川沿いに現れるのが都橋商店街だ。
都橋から宮川橋まで、川に張り出し緩やかに宴曲した形の商業建築。川の上の住居のようなこの手の建物は不法占拠がほとんどで、バラックだったりと大概は仮設なのだが、これはしっかりとしたコンクリート造なのだ。どのような経緯でできたのかと簡単に調べてみたところ、1964年の東京オリンピックの際、町並みを整理する時に川沿いを拠点としてた露天商を整理するために超法規的措置で行政が整備したそうだ。川の上だからといって決して不法占拠というわけではないようだ。

熊本北警察署

0328北署 建築家・篠原一男氏設計の熊本北警察署。1990年竣工。
くまもとアートポリスの最初期のプロジェクトで、竣工時には奇抜な建物が話題になった。私が建築設計事務所に勤めはじめた頃で、熊本でもいまほど建築に対しての理解がなかった時代である。この建物が一般にあたえたインパクトは相当なものであっただろうと想像できる。
くまもとアートポリスの初期の建物はよくも悪くも突き抜けたものが多い。時代的に経済状況が自由を許容できたというのもあったのだろうが、なにより、旗振り役の知事のもと、建築、環境デザインによる一地方都市の文化向上という課題に対して初代コミッショナーの磯崎さんはじめとする関係者の熱意と意気込みが伝わってくる。そしてこの頃の建物は、今見ても刺激的で全く古びていないものが多い。

内藤廣展

0306ギャラ間 乃木坂のギャラリー間で開催中の「内藤廣展 アタマの現場」に行ってきた。
いつものギャラリー間での展覧会とはだいぶ趣が違っていた。
内藤廣氏のデスク廻りが再現してあったりといろいろな意味で楽しめた。

モダンリビングに掲載されました!

0207モダンリビング 本日(2/7)発売のモダンリビング213号「豪邸、拝見!2014」(ハースト婦人画報社 発行)に「京町の家」が掲載されています。「ローカルでモダンに暮らす」というテーマの連載企画で、建築家の窪田勝文さんを現地にお招きして対談した様子も掲載されています。実際には対談というよりも、私としては小一時間に渡り窪田さんに建物の感想と建築家としてのお話を伺ったという感じですが、、雑誌では一応対談したふうになってました(笑)もちろん雑誌には書ききれなかったやりとりもたくさんあって、ここ最近自分の設計した建物について面と向かって建築的評価を聞く機会が減っていたので、気持ち新たにするとてもいいきっかけになったと思っています。

熊本駅前広場キャノピー

1106熊本駅建築家の西沢立衛さん設計の熊本駅前の巨大なキャノピーです。まだ全体像のほんの一部だけしかできてないのでなんとも感想も言いにくいのですが、正直これは理解に苦しみます。とてもシンプルに作られていて、おそらく力学的にはスパンの広さなどを考えれば驚異的に薄くて細くてそして張り出しているのでしょうけど、、、実際には柱はとても太く感じるし庇の厚みも妙に分厚く見えます。オーバーハングも重たい印象です。こういったシンプルすぎる形状では、その大きさ自体がオーバースケールな気がします。これがバス停くらいの小ささならいいんでしょうけど。
そう遠くない将来、駅前広場全体が出来た時にどういう印象に変わるのでしょうか。
 

東京大学生産技術研究所

1019生研駒場の東京大学生産技術研究所の建物です。この建物は以前在籍したアトリエファイ研究所で最後に担当していた仕事です。もう退職する時期が決まっていたので設計まで担当して現場監理は後輩に預ける形になっていて、実は出来たのを見るのは初めてだったのです。この施設を使う最先端の研究陣とミーティングを重ね配置が決められています。研究カテゴリーにより分けられた研究室の入るボリュームが二列に並べられ、何本ものブリッジが渡され動線をつないでいます。建物に挟まれた空間にはガラスの屋根がかけられたアトリウムとなっています。
もう14年くらい前なのですっかり忘れていたのですが、一歩アトリウムに入って見上げた瞬間、建物外壁の表情の作り方や金物類のディテールにいたるまで怒濤のように記憶が蘇ってきました!よくがんばっていたなぁ。以前、京都駅を訪れた時にも思いましたが、我ながら設計監理にとにかくエネルギーかけてますね!
今、この頃と同じだけ情熱とエネルギーをかけて設計できているでしょうか?
ちょっと自分に自問自答しないといけませんね。

「家族の時間」展

0901石井熊本から九州新幹線で博多のアジア美術館まで「家族の時間」展に行ってきました。いつも竣工写真をお願いしているカメラマンの石井さんの個展です。
建築の竣工写真撮影時に同時に撮影されたそこで生活する家族にスポットを当てた写真展です。私が設計した住宅も数点ありました!とても穏やかで温かな雰囲気で、はっとするくらい美しく幸せな瞬間を捉えた写真がたくさん展示してあり、とても楽しめました!
ここに展示してあるような雰囲気の住宅を設計したいと思いました。
 

前向き!タイモン

0823taimonミクニヤナイハラプロジェクトvol.5「前向き!タイモン」の再演をこまばアゴラ劇場まで観に行ってきました。ミクニさん演出の特徴のひとつですが、今回もとにかく動き早くセリフ多く三倍速で見てるような、観劇後は脳が心地よく疲労した感じです。面白かった!
第56回岸田國士戯曲賞受賞作品です!!!
 

逢妻交流館

0728逢妻
豊田市美術館に行くのがメインで豊田市まで来たのですが、調べていたら、建築家の妹島和世さん設計の生涯学習センター 逢妻交流館(2010年竣工)も美術館の近くだということが分かり、ついでに(笑)足をのばして行ってきました。この建物はいびつな形をした外観など正直あまり期待していなかったのですが、実際に見学させてもらったら意外にも(?)とても良くて、つい長居してしまいました。

0728逢妻
とにかく外周が全て局面ガラスになっているのでスケスケです。内部に入ると内部個室の間仕切りも大半がガラスなので、さらに反射、透過の効果はすさまじく、その映り込み具合で内外の境界がない感じはなかなかに気持ちいいです。

0728逢妻
外観の特徴となっているうねるようなガラス面は微妙なズレをともなって積層されています。ガラス壁の上端と下端のディテールなどとても際どく(笑)そのため建物としての存在感が消されていて、なかなかかっこいいたたずまいです。

0728逢妻
それにしえても柱は極端少なく、あっても細く、スラブは天井仕上げなしで真っ平な打放しのスラブ底が見えています。どうやって構造が成立してるのかパっと見では分かりません。さらには、複雑な曲率の違うガラスなどなど、施工はとても大変だっただろうなと感心します。

0728逢妻
屋上部分も同様で、ガラスの壁に、穴のあいた鉄板があたかもフラットに、水勾配などお構いなしに見える屋根がかかっています。
穴から見える空と落ちる光、ガラスに反射する穴など、単純な空間が作り出す複雑な感覚がとても面白い。
屋根の穴が大きいだけに雨の日にはだいぶ濡れそうですが。。。

フランシスベーコン展

 0728ベーコン豊田市美術館ではフランシスベーコン展をやっていました。東京の国立近代美術館で催されていた大規模回顧展が巡回していました。東京で見逃していたのでちょうどよかった!
フランシスベーコンはアイルランド生まれの20世紀を代表する画家の一人です。この展覧会では「身体」がテーマとなっていました。時代ごとの「身体」の表現方法の変遷と、そこに貫かれている、ベーコンにとって重要であった身体と空間、時間との関係性に焦点が当てられています。
関連展示として、ベーコンの没後、絶筆をもとに作られたウィリアム・フォーサイスのダンス作品の映像展示もあったのですが、この踊りが圧巻!つい見とれてしまいました。

豊田市美術館

0728豊田美術館
豊田市美術館に行ってきました。この建物は建築家、谷口吉生氏設計の傑作美術館です!旧・挙母藩のお城跡の小高い丘の上に建てられていて、敷地を南北に横断している緑がかったスレート石貼りの大きなフレームが過去と未来の境界線を表現しているそう。建物全体に谷口氏らしいシンプルでミニマルなデザインで隅々まで作られていて、空間に緊張感があってとても美しい。

0728豊田美術館
敷地の高低差を生かして作られた人工の池は建物の2階レベルになっています。高低差をまたいでいるフレームの高さはエントランス部分に比べ高さが低くなっています。水面がフレームと建物や緑を映してとても清々しい気持ちの良い空間になっています。

0728豊田美術館
建物2階テラスのスレート石張りのフレームの足部分の連なり。水平垂直で構成されたデザインはミニマルなディテールで作られることでより絵画的になり、各部分のプロポーションの美しさが際立っています。

0728豊田美術館
内部は大小の箱状の展示室を回遊するようになっていて、その展示室群を大きな半透明のガラスの箱で覆ってありロビーが形成されています。白く光った半透明のガラス壁とジョセフコスースの文字で埋め尽くされた大きな壁面にはさまれた天井の高いロビー空間にジェニーホルツァーによるLEDの文字が流れています。息をのむほど美しく刺激的な空間でした!

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