hisano keitaro Architectural Design Office himalaya
Works
物件名
京町の家
所在地
熊本県熊本市
竣工年
20011年
規模・構造
RC造2階建て
用途
専用住宅
敷地面積
177.55㎥
建築面積
102.76㎥
延床面積
186.49㎥
撮影
石井紀久
掲載誌
A-collection#9
 
 
京町の家コンセプト
この住宅は熊本市の中心街、熊本城にほど近いかつては武家屋敷が建ち並んだ閑静な住宅地にある。施主からは第一に快適であること。そして、斬新であってほしいが、どこか懐かしい印象。の2点を求められた。
市街地に近い住宅地の共通の宿命として、隣地からのあきを確保して設計することはなかなか難しい。それでも注意深く見てみると活用できそうなスペースも見えてくる。具体的には東側には隣地の広い芝生の庭が広がっている。西側の一部には遠くの山まで望める隙間がある。などである。それら敷地の特性を生かしながら計画を進めた。
周辺に対しては必然的にある程度閉ざされた形式をとりながら、快適さを実現するため自然に対しては開いた住居となるよう、東側に設けた中庭をコの字型に囲うような配置とした。自然を取り入れるための仕掛けとして、町家的な発想と昔ながらの土間縁側の感覚をとり入れ、全ての部屋は中庭を通して光を導き、風が抜ける仕組みとなっている。中庭は緑化された2階のテラスとともに立体的な庭(自然)を構成。各部屋を結び、この住居の中心となっている。また、視線を遮るためのスクリーンとして設置された木製ルーバーの影は複雑な光となって中庭にふりそそぐ。中庭を中心とした住居での生活に華やかさと変化をもたらすよう意図している。
室内は空調設備としてPS設備を完備。それにより可能となった大きな気積を有した間仕切りのない空間となっている。その上で、各所で性格の違った場を用意して室内を構築している。西側の景色が抜けた部分は大きなガラス面とし明るい吹抜空間のダイニングとした。対して、リビングは少しだけ床レベルを下げることで落ち着いた雰囲気としている。
設計にあたっては特に、施主と価値観の共有を図ることに注意を払った。懐かしい印象などといった曖昧なニュアンスを正確に捉えるよう繊細な感覚をもって打ち合わせを重ね、仕上げ素材や色彩計画をまとめた。
引っ越し後、新居での生活をとても喜んでいただいていることは、私にとってもなによりの喜びとなった。