hisano keitaro Architectural Design Office himalaya
Works
物件名
"B"-studio
所在地
熊本県熊本市
竣工年
2006年
規模・構造
木造2階建て
用途
専用住宅
敷地面積
170.95㎥
建築面積
85.42㎥
延床面積
152.85㎥
撮影
鳥村鋼一
受賞
第12回くまもとアートポリス推進賞 / グッドデザイン賞ノミネート / 九州建築選2008
掲載誌
MYHOME100選Vol6 / 新しい住まいの設計 / MONOマガジン / 家族時間 / 建築ジャーナル
 
 
“B”-studioコンセプト
“B”-studio という名称は建て主によってつけられたものだが、その名のように設計にあたっては住宅の固定概念にとらわれない面白く奇抜なアイデアを求められた。 敷地は、畑のなかに古い民家や建売住宅、工場等が点在する周辺環境の中にある。この環境下でいかに豊かな住環境を構築できるかが大きなポイントとなった。また、生活環境と都市環境とが複雑な関係性の中にある現代の住宅としての機能はもちろん、さらに台風時の安全対策などが求められた。
新たなデバイスとしての雨戸
プライバシーやセキュリティを確保しつつ、かつ、空間的に閉鎖的にならないようにという相反する課題について、雨戸をデバイスとして捉え直し、積極的にデザインすることで、問題の解決を試みている。雨戸をフィルターとして機能させるために、面材にはパンチング素材の防雪板を採用している。パンチング素材は閉じていても自然の風を通す。さらに、独特の陰影を生む。そこから生み出される光と影は時間とともに複雑に変化し、室内空間を豊かに彩る。時間も空間に彩りを添える重要な役割と考え計画されている。雨戸を閉じれば、開口部を防御する堅固な覆いとなり、また、全開にすれば外部に対して1Fホールを開放して人を招き入れることもできる。雨戸の開け具合により外部とのつながりの程度を状況に応じて調整できるようになっている。
外部と内部、個人と家族の中間領域としてのホール
通学路でもある前面道路に面しては土間が設けてあり、1Fホールは土間を介して内部との中間ゾーンとなる。その状態でも生活空間は2階に位置するため、プライバシーは最低限確保されている。子供達にとってホールは外部の延長であり、立体的な空間は格好の遊び場となる。また動線は一見複雑であるが、グレーチングの通路やブリッジは、視線が通ることで軽やかな印象をもち、そこで移動する人自体が空間を構成するひとつの要素となるようデザインされている。 また、オープンでにぎやかな空間とは対照的にベッドルームや子供室、和室といった個室はしっかりとクローズできるように配慮している。日常的に静と動の二つの性格の空間がホールによって連結され、快適な距離感を生み出すよう意図している。
気候条件への対応
特に夏の暑さが厳しい地域の計画なので、高気密、高断熱な仕様になっているのは当然であるが、そのうえで、通風を考えた開口部設計と空間全体の上部に熱気だまりの空間を設けた階高設定など、設備機器に頼らない快適な空間作りを行っている。生活空間の上部にたまった熱気は煙突効果もあいまって換気窓からスムーズな排気を行うとこができる。