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Awards
くまもとアートポリス 第8回
推進賞受賞
「H邸」
審査員講評
都市部における戸建て、ニ世帯住居をきっぱりとしたモダニズムの表現にたって実現した爽快な住宅作品として高く評価した。L型の平面設計は既存の庭部分の尊重と将来変化するであろう周辺環境への対応から導き出されたものといえるが、両親の個室を含む低層ブロックと共有部、子の居住空間を含む2層棟ブロックの2つのヴォリュームを形態的、空間的に効果的に連続する事で、豊かな住空間の演出が成功している。
2層ヴォリュームの部分は1階の天井高さを抑え、対比的に上階層の天井高さを上げることで吹き抜け空間を活かした空間のダイナミズムが充分に獲得されている。
低層部の屋根を利用した芝生テラスなどが活かされた階層構成によって、断面計画の中に単純、明快な解決が見いだせる。
近代建築が生んだ空間処理の方法をよく咀嚼した上の巧みな操作が導かれているように思う。構造、環境技術の処理、仕上げの選択など全てに優れた完成と思考が読み取れた。モダニズムの現在を素直に感じる作品で、推進賞にふさわしい高い質をもつ。
(岡部憲明)
くまもとアートポリス
推進賞顕彰事業主旨
熊本県は、環境デザインに対する関心を高め、都市環境並びに建築文化等の向上を図るとともに、世界への文化情報発信地「熊本」を目指し、後世に残る文化的資産を創造するため、「くまもとアートポリス」を推進しています。
この事業の目的を達成するため、コミッショナーが国の内外から推薦した設計者を参加事業主に紹介するプロジェクト事業や各種のイベント、広報事業等を行い、さらに幅広く県民の皆様の御理解を深めていただくため、平成7年から「くまもとアートポリス推進賞」の表彰を行っています。
この賞は、質の高い優れた建造物等を顕彰することにより、県民の環境デザインに対する意識の高揚と都市環境並びに建築文化等の向上を目指し、併せて豊かな地域づくりを図ることを目的としています。